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米英200年の死闘
もう三年以上前の記事だが、アメリカとイギリスは結託しているのではなく対立しているのだ、ということを延々とさまざまな事象を挙げて説明している長い文章。

別件で他の記事を探していたらついつい読み込んでしまったのでレビューすることにした。

イギリスとアメリカは同じ英語を話す国で、世界大戦やエシュロンなどで結託しているように見えるが、この二つの国は裏で対立しているのだそうだ。日本と韓国が仲良さげにしている裏で対立しているのと同じだという。

キーポイントはいくつかあるが、一番この問題を見えにくくしているのは、アメリカの民主党がイギリス系であり、民主党が政権をとっていた間は両国が協調していて、協力しているときはアメリカよりもイギリスの国益にかなった行動を取っていると分析している。それを、歴代大統領とその出身政党と彼らが実際にとった行動を列挙することで説明している。

ここ最近では、カーターとクリントンが民主党、レーガンとブッシュ親子が共和党だ。カーターは引退後も中国との掛け橋になっており、クリントンの頃もアメリカが中国に近づいた時期であるとおり、民主党は親中・親イスラエルだ。レーガンは私はよく知らないが、ブッシュの頃は日本と親しくして中国との距離が開いた。

アメリカとイギリスの戦略の違いについて述べているのも大変興味深い。アメリカは石油の出るアメリカ大陸と中東を押さえているのに対して、イギリスはウランの出るオーストラリア・ニュージーランド・南アフリカなどをわざわざ白人を入植させてまで押さえているという。また、産油国にはイスラムの比率が高く、アメリカは実は親イスラム政策をとっていると言っている。

イギリスは歴史的にアメリカを執拗に攻撃してきたそうだ。まず独立戦争で大統領を殺そうとした。南北戦争では南を合衆国から脱退させて内戦状態にした。そしてアメリカは移民を無条件で受け入れる国なので、イギリスが人口の少ない州に人を送り込んで政権を取りにくることをアメリカは恐れているらしい。

ただ、イギリスつまりロスチャイルド家の息子がアメリカ大統領になるのを阻止するために、大統領に就任するための条件として聖書に手を置いて宣誓することを義務づけた、という説はおかしいように思う。ユダヤ人にとっては旧約聖書が聖典なので不可能だというのだ。しかし実際には、その人が大切に思っているものに対して宣誓すればいい、という話をどこかで聞いた。大統領就任時ではなく裁判で証言するときだけの話だろうか。筆者は、ペンタゴンでクリスマスが盛大に祝われていることを現地で実際に見て、ユダヤ人を排除しようとしていると感じたようだが、イスラエルではクリスマスは祝わないのだろうか。

ユダヤユダヤとこだわっているが、人種やルーツというよりも、あくまでロスチャイルド家とのつながりの強さでユダヤ系かどうかを論じていると著者は強調する。そのわりには宗教くさいことに触れているのはヘンだが、そのへんはまあいいとしよう。

著者がそもそもロスチャイルドとロックフェラーが対立しているということに納得したきっかけは、藤井昇『ロックフェラー対ロスチャイルド』という本だったらしい。中でも、アメリカの三大ネットワーク ABC がイギリス・ユダヤ系で、NBC がアメリカ・保守本流だというのはオリンピック中継を見てすぐわかったと書いている。入場行進のとき、ABC が独占中継した年はイスラエル選手団の紹介で観客の人口比以上の大きな拍手が起き、逆に NBC のときは静かなものだったそうだ。代わりにイスラム系の国賓をアップで写したとも言っている。

その上、1970年代まではアメリカ国民のほとんどが、地上波の電波の関係でイギリス・ユダヤ系のメディアの放送しか見ることができなかったのだそうだ。そこで共和党が CNN や FOX やらを作ったのだという。特に CNN は、湾岸戦争前の親米だったイラクが偏向報道を恐れて CNN 以外を追放したそうだ。

そうこうして、イギリス・ユダヤとアメリカの戦いは最終決着に近づいていっているという。イギリス・ユダヤの敗北だ。民主党のクリントン政権の国防長官に共和党のコーエンが二期目に収まったのを最大のミステリーとし、他にもホワイトハウスでの不審な事件、湾岸戦争でのイスラエル無視、クウェートのアメリカ帰依、南アフリカでのアパルトヘイト崩壊、企業の勢力図の変化など。

経済の話でやれロックフェラー系だロスチャイルド系だという話は私にはまだ信じられないが、著者の語る近現代世界史と米英の戦いには目からウロコが落ちる。

いまを見れば、アメリカはイラクを攻撃しようとしている。ちなみにイラクはフランスが利権を握っている場所らしいので、イギリスとは関係のない場所だ。ただ、アメリカがイラクに根を下ろすと、イスラエルを押さえるイギリスとの戦いにも影響するのだろう。この戦いの行方がどうなるのか、著者の予測とともに見守っていきたい。
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