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X7 mk2
中国の電子機器メーカーFiioによるデジタルオーディオプレイヤーの最上位モデル。といっても同社の思想により手ごろな価格で高音質を実現しており、最近の特に韓国Astell&Kern(IRIVER)などの高価格路線とは一線を画している。携帯用ではなく据え置き用のDACチップを搭載しているほか、アンプ部分を交換可能なモジュールとして提供しているのが最大の特徴。

Astell&Kern × JH AudioのRoxanne IIという高いイヤホンを買ったので、こいつを十分ドライブできるデジタルオーディオプレイヤーが欲しくなったのだけど、秋のヘッドホン祭りの特売でいい出物がなかったので、前から評判の良かったこのFiio X7 mk2を中国のいわゆる独身の日と呼ばれる11月11日のセールで買った。K5という小型の据え置きヘッドホンアンプとセットで615.99ドルだった。Aliexpress(アリババ)にはFiio直営(?)のネット店があってそこで買った。

アンプ部分には最初AM3Aというアンバランス3.5mmとバランス2.5mmの二種類のジャックがついているモジュールがついていたのでしばらくそれで聴いた。音は評判どおりスッキリ系で、割と澄んだ音だった。フジヤエービックで試聴した同世代のミドルレンジ機X5 3rdはあまりピンとこない音で買う気になれなかったのだけど、このX7 mk2は十分いい音だと感じられる程度にはよく思えた。ただ、pioneerの小型機XDP-30Rと比べるとちょっと音はいいかなと思える程度でそんなに差を感じなかった。まあXDP-30Rも元々五万クラスの製品だし、日本円で8万クラスぐらいのX7 mk2とはそこまで差はつかなくてしょうがないかなと思った。というかXDP-30Rはあんなに小さいボディでよくここまでいい音を出せるものだと逆に感心した。バランス接続が前提だけど。

で、一緒にAM5というアンバランス接続の高出力アンプモジュールも65.99ドルで買っていたので換装した。専用のスクリュードライバが同梱されていて、ネジを二つ緩めてモジュールを外し、ファミコンカセット(もうおっさんしか知らないか)みたいにしてカートリッジもといモジュールをさしてネジを締めなおす必要があった。ちょっと面倒なのでその日の気分で付け替えるのは無理だなと思った。

AM5で聴いたところ、一聴してすぐにああいい音だなと思った。オーディオの世界ですぐにいい音だと感じられるというのはよっぽどいい音の時だけで、二つ上ぐらいの価格帯に買い替えるとかしない限り、良さというのはじわじわとしか感じられないのが普通だから、このX7 mk2とAM5というのはすごいと思う。Roxanneで聴くとジュワーッと音が耳の中に染みる感じがした。一般にはバランス接続のほうがハイパワーでメリハリの効いた音がするとされているけれど、アンバランスでもしっかり高出力に作ればこのぐらいの音になるのだなと思った。これを書いている時点で自分はCHORD mojoのほかにONKYOのGRANBEATというプレイヤー兼スマートフォンも買ってしまったのだけど、X7 mk2とAM5の組み合わせは一番いい音を出していると言い切れる。

ただしいくつか弱点があって、まずバッテリーの減りが早い。毎日二時間半ぐらい使って二日間ぐらいしか持たない。ちゃんと電源を切っておかないと一日半ぐらいでバッテリーがなくなる。Android 5.1.1なのでスリープしていてもそれなりにバッテリーを消費する。使っていると熱を帯びてくる。熱々というほどにはならないけれど、ほんのりどころではなくじわっと暖かくなる。

再生ソフトの出来がいまいちで、放っておくと最初の画面に戻っているので、アルバムをどこまで聴いたか分からなくなる。曲の並び順も法則がよく分からなくて、五十音順とかアルファベット順になっているけれど所々に違う文字で始まるアルバムなんかが挟まっている。自分のタグ付けが悪いからかもしれないけれど。アルバムを選んで再生したあと、戻るボタンでアルバム一覧に戻ると、しょっちゅう先頭に戻ってしまう。アルバムをリスト表示でなくジャケット表示にするとなぜか記憶していてくれたけれど、それでも時間が経つと先頭に戻ってしまう。毎度それまで聴いていたアルバムを探すのに苦労させられる。何度かバージョンアップしたのだけど、そのたびに挙動が微妙に変わってしまう。ただ、良い点もあって、フォルダスルー再生といってアルバム一枚聴き終わったら自動的に次のアルバムが再生されるようにすることができる。

Android機なので好きな再生ソフトをGoogle Playでインストールできる。ONKYOのHF Playerを入れてみたけれど、そうすると本体についているボタンが動かなかった。しょうがないので色々考えた結果、pureモードという余計なソフトが立ち上がらないモードを使って付属プレイヤーで聴いている。Androidモードだとwifiも使えるしネットがなくても電子書籍を閲覧したりできるけれど、画面の解像度がそんなに高くないしバッテリーも余計に使うのでそんな気になれなかった。ただ、pureモードですら純正の再生ソフトの挙動が不安定で、スクリーン上の停止ボタンを押したら最初に聴いた曲が再生されたことがあったり、本体のボタンで曲を再生させたら曲が一瞬流れてから再び停止したり、停止させようとしたら一瞬しか止まらなかったりすることがあった。

メモリカードスロットが二基搭載されているのは地味に大きい。自分はsandiskの200GBのメモリカードを二枚さした。一枚八千八百円程度だから二万もしないで本体と合わせて四百五十ギガぐらい使える。まあ実質一枚185GBとかそんなもんだけど。最近になって400GBのメモリカードも動作確認がとれたと発表された。

Bluetoothも使える。aptXをサポートしているので高音質で聴ける。ただし、ターミナル駅で聴いていたら頻繁に音が途切れて聴いていられなかった。前述のonkyoのGRANBEATやHTC Batterfly (HTL23)では何の問題もなかったのに。まあ中国から個人で輸入したもので電波について国の認可を受けていないので文句は言えないのかもしれない。最近になって国内で正式に代理店がついて販売されるようになったのだけど、日本の電波事情に対応したのだろうか。ちなみに家で聴く分には何の問題もなかった。

高音質なデジタルオーディオプレイヤーというと、Astell&KernのAK380シリーズやsonyのNW1Zなんかが挙げられるのだけど、定価が三十万以上する。そんなハイエンド製品と廉価なのに張り合えると言われているのが中国のiBassoというメーカーのDX200で、十万ちょいぐらい。ただしネットの評判だとソフトウェアがいまいちとかハードウェアの品質もそんなに安定していないとかで、ピーキーなマニア向けの製品らしい。それと比べるとこのFiioのX7シリーズはどうやら音では張り合えていないみたいだけど、価格は安いしハードウェアは割と安定している。サポートも厚いらしい。まあオーディオマニアからすればいい音が出るかどうかが一番重要なのだろうけれど、普段使う分にはやはり安定しているのが一番という声も小さくない。それに高いと落として壊すのが怖いので十万以上出したくない自分からすれば、この値段感と性能は非常にいいバランスだった。余計なクセがなく、すっきりしていて地力がある正統派の高音質デジタルオーディオプレイヤーなので、音に暖かみとか味わいとかを求める人でない限り、まず試すべき王道に位置づけられる製品だと思う。

ただ、前述のとおりソフトウェアがいまいちなのと、いいイヤホンで聴かないと大して音に違いが出ないこと、それにもっと金を出せばこいつよりいい音を出す製品がいくつもあるので、とにかくこれを勧めるというわけにはいかない。イヤホンもデジタルオーディオプレイヤーもそれぞれ十万以内に抑えて出来るだけいい音で聴きたい、という人にはぴったりハマると思う。
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