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明治・大正・昭和 30の「真実」
明治・大正・昭和と激動の時代にあった日本。その時代の大きな事件や著名人などに関して、資料を漁ってその真実を探し出して語り、我々の思い込みを正す狙いという形で書かれた読み物。

右翼・保守や懐古主義者を喜ばせて売ろうという本だとは思うが、内容の方向性は娯楽よりも真実に向けられているようで、事実私が感じたとおりに作者たちの狙いがあるということが書かれている。実はこうだった!といった安易な書き方をしていないのはいいが、読んでいて爽快感としてはやや物足りないなと思った。

30という項目をきっちりと選び、どの項目にも等しくページを割いているあたりが、読み物の書き手としてのこだわりを感じた。事実とても読みやすく、自分にとってとても面白い項目があっさり終わってしまったりして残念に思ったりする一方で、自分にとってあまり興味ないこともページが決まっているので読みきることができた。読者の関心を広げるという読み物の役割を改めて理解した。

扱われていたテーマの中でいまも私の中に印象に残っているのは、軍部より政治家や国民のほうが暴走していた、大正天皇とはどんな天皇だったのか、日露戦争末期にスパイ活動を行ったとされる誰それよりも活躍した人がいた、当時進歩的とされた女性の本当のところとは、田中首相の進退と天皇の後悔、などなど。

意図とは逆のところで驚いたこともあった。ノモンハン事件で実は日本は負けていなかった、という項目があり、その根拠として死傷者数ではロシアのほうが多かったということが述べられている。しかしここで提示された資料を見ると、確かに死傷者数で比較すればそういうことになるが、死者の数では日本は圧倒的に多かったことが分かった。軍事的な常識では確かに「損害」という言葉は死傷者で数えるらしいのだが、常識的な人なら戦死者の数に目が行くだろう。むしろこちらのほうを作者は言いたかったのではないかとさえ思える。

冒頭での紹介の通り、私はこの作品を「読み物」と考えており、確かにあっと驚く真実も語られてはいるが、自分の歴史観に大きな影響を及ぼすようなたぐいの本ではなかった。私は中途半端にものを知っているだけに、無知な人からすれば驚愕の事実なのが自分にとっては既に知っていることだったり、博学の人ならば思わず身を乗り出す微妙な真実が自分にはどうでもいいことのように思えたりした。つまり、狙いの定まらない本だと思う。
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