評 review の RSS
評 review の静的版 とその ziptar.gz
表 top
評 reviews
称 about us
・ 全カテゴリ
  ・ 映画、テレビ番組、舞台芸術
    ・ 音楽映像

LIVE AT BUDOKAN

DREAM THEATER

最高(50点)
2005年7月18日
ひっちぃ

プログレッシブロックとヘヴィメタルの遺伝子を持ち、孤高の道を歩んできたグループが、デビュー15年目にしてファン層の狭さにも関わらず武道館でのライブを実現させてしまった時のライブ映像。

いつまでも若くて元気のあるバンドのつもりで最新アルバムをゆるく追ってきたが、そうなんだ、もうセカンドアルバムの大ヒットから十年以上がたつんだ、もういいおっさんたちじゃないか、と思ってしまった。特にギターのジョン・ペトルーシは口ひげがさまになっていて、往時のゴシック調の背景に佇む長髪のロッカーはどこへいったのか、軽快にギターを刻むおっさんになってしまった。ドラムのマイク・ポートノイもおやじらしい油ののった風貌で、派手なバンダナを頭に巻いて汗を流していた。一方ベースのジョン・ミュング(マイユング?)はアジア人(韓国系らしい)なだけあって一人若さを保っている。ボーカルのジェイムズ・ラブリエはもともとおっさんくさかった(笑)。キーボードは、三枚目で抜けたケヴィン・ムーアから何回か変わって今ではスキンヘッドのおっさんになってた。インストゥルメンタルなメンバー主体によるコンセプトバンド Liquid Tension Experiment から引っ張ってきたキーボードさんだったっけ。

相変わらず彼らの演奏力には驚かされる。アルバムまんま。ありえない。こんな複雑な曲を、ちょっとしたアレンジも入れて再現する。細かい速弾きフレーズなんかはさすがにアラが出てしまうが、かつてここまで再現性の高いバンドはあっただろうか。若さゆえのものではなく、こうして成熟した今もそれが変わらないことに、もうこれからこんなバンドが出てくるのだろうかという思いを新たにする。

今年2005年になって八枚目のアルバムが出た。私が熱中したセカンドアルバムは譜面まで買って聞き込み打ち込み弾いたりした。サードのケヴィン脱退ショックがあり、このときからドリームシアターは堕ちる一方なのではないかと一人分かった気でいた。しかしそれは私が消化不良を起こしていただけだった。ようやくフォースアルバムの良さが分かってきたのが三年前。五枚目以降のアルバムは、なんとなく聞いているだけでも聞けてしまうせいか、いまだに私の中で消化できていない。何回も何回も聞くには聞いたから、印象的なフレーズはところどころ覚えているのだが、とてもではないが全体の曲がどうなっているのかまで把握できていない。

そんな私にとってこのライブDVDは、ファーストから今にいたるまでの曲の数々をダイジェストできれいにまとめあげてくれているので、とてもよい復習になった。このDVDを一枚見ると、ファーストから七枚目までを通して聴きたくなる。あの曲はこんなにいい曲だったのかと。いままでボーッと聴いていた自分のアホさ加減が思い知らされる。

値段は六千円以上。安くはないが、絶対買い。私は最初に出たライブビデオを買ったほどのファンだ。VHSだと劣化してしまい、今はどうなっているのか不安だ。早いうちにデジタル化したほうがいいと思いつつまだやっていない。しかしDVDは、格段にいい画質でずっと長持ちする。

とファンとして熱を持って語ってしまったが、冷静になって普通の人向けに一点批評したい。ライブ映像に期待されるべきライブパフォーマンスは無いに等しい。KISSみたいなものを期待する人はさすがにいないと思うが、彼らのウリはあくまで音なのだ。一応ドラムスティックを飛ばしたり、ヴォーカルが吼えたり、互いに寄り添ったりするシーンはあるのだが、ファンである私から見ても寒い。ただ、ギターやキーボードの指さばきは見もの。今回特に私が驚いたのは、七番目か六番目のシンセがグニョグニョするフレーズを、ちゃんとキーボードのベンドのレバーを使って弾いていたことだ。まあキーボードを弾く人からすると当たり前のことなのかも。メトロポリスでのベースのタッピングなんかはベースやってた私からすると既に譜面見て知っていたので驚かなかったし。

まだおまけDVDを観ていないんだよなぁ。なんか観る気力が沸かなくて。

[参考]
http://www.dreamtheater.net/

コメントする 画像をアップする 戻る

Copyright © manuke.com 2002-2018 All rights reserved.