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涼風 1〜7巻

瀬尾 公治

傑作(30点)
2005年8月13日
ひっちぃ

広島から東京に上京してスポーツ校に進学した主人公の大和くんが、走り高跳びの特待生の少女・涼風に一目惚れし、陸上競技をやることで突き進んでいく話。

スーパー銭湯プラス男子禁制マンションを経営している親戚の叔母のもとに下宿してみると、その涼風が主人公の隣の部屋で、壁の穴が修理されない状態で残っていたという、いわゆるハーレム漫画。ちょっとHなサービスカットが沢山出てくる。少年誌だなぁと少々あきれるが、これはこれでいいかも。

ヒロインが私にとってとても魅力的。ショートヘアで痩身のスポーツ少女。ピンポイントでくるなぁ。ヒロインが魅力的だという、ただそれだけでとても楽しめる。

本作を読んで思うのは、少年誌で主人公が男なのに、相手の女の子たちも主観にした描写のある作品がこのごろ多くなってきている。少女漫画で男の視点を描くというケースも同様だ。描き手の考え方が確実に変わっていることが分かって興味深い。

7巻までにいくつかの大きな展開があったものの、状況がほとんど変わっていないのが気になる。物語の序盤に主人公が告白してしまうのがちょっと斬新に思った。この二人の微妙な関係を作者はいい感じに描いていると思う。しかし、いくつかの点で、ありきたりな展開をしかも下手に描いているのが気になる。

絵がうまい。オリジナリティは不明だが質は高い。どの登場人物も魅力的。ただし制服のデザインがちょっと狙いすぎ。

この先どうなるんだろうなぁ。涼風というタイトルにしちゃったからには、あくまで涼風が中心なんだろうな。だからといって必ずしも最後うまく結ばれるとは限らないから、そんなに物語の幅を狭めてはいないのだが、どうやって中心に持ってこられるのか気になる。最後、主人公のもとから、風のようにどこかへ去っていってしまう、なんていうセンチメンタルなラストシーンが浮かばなくもない。

いま思ったのだが、もっともっと微妙でリアルな恋愛ストーリーを追求した作品が商業誌で成功する日は来るのだろうか。

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