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ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹

西尾維新 (講談社NOBELS)

傑作(30点)
2008年1月15日
ひっちぃ

頭のおかしい現代の人間失格こと大学生の主人公青年いーちゃんが、今度は「死なない研究」をしているという木賀峰助教授からバイトをしないかと誘われ、そこで事件が起きる。戯言シリーズ。

分厚いねこの巻は。スーツの内ポケットにギリギリ。今回もたっぷり語ってくれている。とにかく読ませる。読み終えたあとで整理すると拍子抜けするけど。

っていうかこれは私の考え方が間違っていたんだなと思わされた。作り話なんてそんなに込み入っている必要なんてないし、荒唐無稽でもなんでもいいじゃない。とにかく語り口が圧倒的で、読ませてくれる。

だからここで私が語るべきこともそんなにない。

永遠に行き続ける少女こと円朽葉については、むしろ逆にちょっとガッカリもした。もっと荒唐無稽なものを期待してしまった。

それとやっぱり私はもっときっちり構築された作品を楽しみたいなあ。合点したい。色々納得できないことがありすぎる。この巻だけでも、なぜ二人は運命を受け入れたかとか、狐の世界観に少し具体的な筋書きが欲しかったし、背景世界の説明が必要最低限しかなされていなくていい加減な感じがする。このシリーズが好きな人はきっと色々想像して楽しむのだろうな。そういう作品なのかもしれない。

この巻で作者曰く「大ボス」が登場している。なかなか面白い存在ではあるが、ちょっと底が透けているようにも思う。それにあからさまなご都合主義もあるし。物語を閉じに掛かるってのは難しいことなんだろうなと同情もするが、もうちょっと気を張っていってほしいなあ。

あと私は本シリーズの萌え要素にだいぶついていけなくなっているが、これを楽しんでいる人もいるんだろうなと思いながら淡々と読み進めることにしている。でもさすがにここまで露骨なのはいくら重度のオタクでも求めていないんじゃないかと思わないこともない。葵井巫女子や萩原子荻や玉藻あたりまでなら楽しめた私はどの程度のオタクなのだろう。

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