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「官」主導…観客に届かぬ思い

産経新聞 中国取材班 (産経新聞 2002.9.29)

傑作(30点)
2002年9月29日
ひっちぃ

日中国交正常化三十周年ということで民間で音楽の交流をしてやろうと谷村新司が中国で中国史上最大規模のコンサートを企画したが、大金を出して呼んだ浜崎あゆみがトリとして三曲歌っているうちに観客の半分くらいが帰ってしまったそうだ。

まず、浜崎を呼んだこと自体、リサーチ不足だった。浜崎あゆみは、記事によれば MTV アジアアワード特別賞を受賞したそうで、知名度があったというのだが、向こうではそんなに知名度がないし好かれるタイプでもないのだ。特別賞なんていうといかにもオマケくさいではないか。そんな浜崎に、浜崎以外の出演者のギャラ合計を合わせたより多いギャラを払っていたというから、かなり負担したというトヨタもまぬけだ。

分かりやすいことから話したので、このあとはもっと奥が深い話だ。

中国では集会を開くにも役人の許可がいることに加え、このコンサートを開くにあたって委員会が四つも用意され、チケットは中国側の委員会だけの手により配布されたそうだ。彼らは宣伝をまったく行わず、関係機関だけに配られ、なおかつかなり余ったという。最後は大学に割り当てられてさばかれたそうだ。

そんな経緯があり、もともと音楽が特に好きな人が集まったわけではないので、コンサートもある人によればまるで日中歌合戦のようだったと言い、中国人の観衆は中国の歌手が歌っているときだけ応援し、日本人歌手が歌っているときは雑談をしていた人が多かったのだそうだ。

この記事を書いたグループは、このような試みを行う日本や日本人のことを「片思い」と表現している。まあ片思いなのだろう。しかし、我々は中国の歌を知らないのに対して、冒頭で谷村新司の「昴」が中国のカラオケの定番となっていることが紹介されていたりするように、純粋に音楽についていえば向こうが「惚れている」状態にある。この話は、中国がまったく共産主義に凝り固まっているのと、谷村新司がやり方を誤ったこと、それがすべてだということだ。それに、一部の日本人が中国のものを愛する姿勢にはウソっぽさが見えることもあり、中国人がヘンな思い込みをすることを助長しているように思う。そんなやり方で両思いになって嬉しいのだろうか。

[参考]
http://www.sankei.co.jp/

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