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スカイハイ 二巻

高橋ツトム

まあまあ(10点)
2004年10月19日
ひっちぃ

不幸な死に方をした人が、天国と地獄の分かれ道にいるイズコという番人と会い、このまま天国へ行くか、現世をさまよいつづけるか、地獄に行くことになろうと現世の誰か一人を呪い殺すかを選択していく連作。

一巻だけ読んでそのままにしておいたのだが、趣味のあう職場の同僚に勧められて二巻にも手を出してみた。

前にもレビューをしたが、この二巻でようやく三番目の選択肢を生かしたエピソードが出てきた。ああ、なるほどなー、と思ったが、余韻だけを残そうとする安いセンチメンタリズム以上のものを感じることが出来なかった。

この二巻では、全体の半分以上を占める作家の隠し子編が中心となっている。同僚もこのエピソードが面白いから読んでみるといいと言っていた。確かにグイグイ引きこまれた。が、中身を見ると、とても空虚でしらけた話だとしか思えなかった。自分の隠し子に対するこらえがたい愛情を持った作家の気迫はとてもよく伝わってくるが、それを裏打ちするものや、結末までの持っていき方が非常に不可解で、最後は作者自身が作中人物の感情に流されて終わってるとしか思えない。

そこでふと思ったのだが、このスカイハイという作品は、いわゆるミステリーだとかサスペンスというジャンルの作品なんじゃないだろうか。私はミステリーとかサスペンスというジャンルと非常に相性が悪い。

ミステリー好きというのは、物語の展開のドキドキを楽しむものなのだろう。一度ミステリー好きに訊いてみたいものだ。そういう観点から見ると、この作品というのは非常によく出来ていると思う。前にも書いたが、着想が面白いし、このアイデアをうまく活かして描けていると思う。そういう部分だけを楽しめれば良いのだろう。

ただ、私にとってはいまいち愛を持って接することのできる作品ではない。こういう作品があることは素晴らしいことだが、もっと物語をちゃんと作って欲しい。キワモノで終わるか傑作として残るかの分かれ目だ。

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