評 review の RSS
評 review の静的版 とその ziptar.gz
表 top
評 reviews
称 about us
・ 全カテゴリ
  ・ コンピュータソフト
    ・ アクションゲーム

DARK SOULS III - The Fire Fades Edition

FromSoftware, Inc., BANDAI NAMCO Entertainment

最高(50点)
2022年4月17日
ひっちぃ

はじまりの火が陰り、終末へと向かっている世界。生死の境があいまいになり、この世には亡者どもがあふれていた。かつて火を継いだ「薪の王」たちが蘇り、その故郷ともどもロスリックと呼ばれる地に流れ着いていたが、彼らは火を継ぐことを拒否していた。「不死人」として蘇ったプレイヤーは、「薪の王」たちをねじふせて火を継がせようとする。世界的人気を誇るダークファンタジーアクションRPGの第3弾。

この「死にゲー」と呼ばれる難易度の高いアクションゲームシリーズの存在はだいぶ前から知っていたのだけど、自分がやるゲームじゃないなと思ってずっとスルーしていた。しかし2021年のハロウィンだったかに行われたSteamのセールにて1,485円で投げ売りされていたのでとりあえず拾っておいた。基本的にはしばらく積みゲー(買うだけ買って積み上げておくだけのゲーム)の予定だったのだけど、2022年になって同じ会社のElden Ringがものすごい高い評価を得ていることを知り、実質的な前作にあたる本作を急遽遊んでみることにした。とても面白かった。

世界観がものすごくダークでびっくりした。最初にキャラクターメイキングをやるのだけど、パラメータの一つに「副葬品」というのがあり、つまり主人公はもう葬られている(笑)。なんと棺の中から起き上がるところからゲームが始まる。この前までやっていたガストのアトリエシリーズとのあまりの落差に震えた。

素性(初期の職業みたいなもの)に王道の「騎士」を選んだので、まずは墓場の中を甲冑姿でうろつくことになり、道中亡者どもを倒しながら進む。親切にも操作方法を説明してくれる短いメッセージがあちこちに置いてあるが、どれもぶっきらぼうな内容ばかりだった。ここで一通りの基本操作を学ぶ。

しばらく進むと門をくぐったところに広場があり、膝をついた巨大な石像に大きな剣が刺さっているのでひっこ抜くと、石像が蘇って(?)襲ってくる。こいつが実質的なチュートリアル(練習)ステージのボス「灰の審判者、グンダ」で、このあと十回近く殴り殺されることになる。

こいつがとにかく強かった。道中の雑魚敵の攻撃は盾を構えていたら確実に受け止められ、そのとき敵が少し硬直するのでその隙にこっちが攻撃を浴びせれば倒せた。というかその前にロングソードで先制攻撃を当てればたとえ敵が武器を振りかぶっていても反撃を受けることなく容易に切り伏せることができた。しかしボスのグンダの攻撃は二回受けると盾がはじかれるし、グンダが重そうな武器を振りかぶっていたらたとえこっちがやつを切り刻んでもそのまま武器を振り下ろしてくるので大ダメージを負ってしまう。

ではどうすればいいのかというと、最初は盾で受けずにローリングという回避動作をする。無敵時間があるので敵の武器がかすったように見えてもこっちはダメージを負わない。それ以前に、敵の武器がちゃんとスピードに乗ったときじゃないとダメージ判定が行われないようになっている。

敵の攻撃を一度ローリングしてかわしても安心してはいけない。続けて連続攻撃を放ってくるかもしれないからだ。敵の攻撃には緩急があるのでただローリングを連打していればいいわけではない。このゲームで一番重要なのは敵の動きをよく観察することだと言っていいと思う。敵の行動には必ず予備動作がある。でもいつ攻撃が終わるのかまでは分かりにくい。さすがに何もしないことの予備動作はないからだ。攻撃にはパターンがあるのである程度は分かるが、結構複雑なパターンがあって攻撃にもバリエーションがあるので単純ではない。

一番確実なのは敵の後ろに回り込むことだ。さすがに素早い攻撃を急に真後ろにしてくることはない(例外あり)。敵の背後から攻撃すると「致命」という特別な攻撃になって大ダメージを与えることもできる(できない敵もいる)。なお、「致命」を取るにはいくつか方法があって、相手の盾を「パリィ」で弾いたり、頭部に継続ダメージを与えたりするとよい。

やっとコツがつかめてきてグンダを倒したときには心の中でガッツポーズをしていた。

このゲーム、プレイしていてとにかく心拍数が上がる。遊んだあとに血圧を測るといくらか上がっている。Steamの実績にボス撃破のものが追加されたのだけど、六十数パーセントのプレイヤーしかこの実績を達成していないと出てきて驚いた。なんと約1/3のプレイヤーがこの実質的なチュートリアルのボスを倒せていないのだ。

こいつを倒して少し進むと「火継ぎの祭祀場」という町っぽい場所にたどり着く。ここに来ると店(?)があって買い物ができたり、鍛冶屋がいて武器や盾を強化できたり、火防女という神官みたいなのがいてレベルアップできたりするようになる。そう、このゲームはRPGなので(?)自分を強くすることができるのだ。経験値はなくて代わりにソウルというお金にもなるものを消費してレベルを上げると、何種類かある能力値を1つだけ増やすことができる。でもそう極端には強くならないのでプレイヤースキルを磨かなければ攻略できない。

「死にゲー」というだけあって死んでもレベルが下がることはないのだけど、持っているソウルを全部その場に落としてしまう。レベルアップに使ったソウルは失われないので、余ったソウルや道中手に入れたソウルだけ落とす。篝火(かがり火)と呼ばれるチェックポイント兼ワープポイントのような場所から再スタートできるので、落としたソウルを拾えば全部戻ってくる。ただし、拾う前に死んでしまうと落ちていたソウルは失われてしまう。大量のソウルを落としたまま再び死んでしまうと非常に悔しい。だからソウルはなるべく余らせず消費するのが良い。死ぬのが当たり前のこのゲームにあって緊張感を保てるので良いと思う。

次に向かうのは「ロスリックの高壁」という城壁や塔や兵舎がある場所。ここにはちょっと強い兵士の亡者や、さらに強い騎士の亡者たちがうろついている。特にロスリックの騎士はボスじゃないのに序盤の強敵と言える圧倒的な強さを持ち、こっちの攻撃を盾で跳ね返した上で容赦のない連撃を放ってくる。こいつを普通に倒せるようになったら初心者脱出だと思う。自分は何度も何度もやられた。どうしても勝てなかったら逃げてもいい。

そう、このゲーム、ガチで戦わなくても基本的に雑魚はスルーして進むことができる。もちろんちゃんと走ったりすり抜けざまにローリングでかわす必要があったりするけれどそんなに難しくはない。先に進めば姿や音を消す魔法まである。ただし魔法を使うには魔法のための能力値を割り振らなければならない。

能力値について解説するのを忘れていた。まず生命力を上げると最大HPが増える。体力を上げると防御力が上がるほか、装備可能な重量が増える。力任せに振り回す武器には筋力が要求され、曲刀とかムチなど扱いの難しい武器には技量が必要で、それぞれの武器に設定されている最低限の能力値がないと大きく威力が落ちてしまう。魔法には理力、奇跡と呼ばれる僧侶系の魔法には信仰が必要となる。全部まんべんなく育てると器用貧乏になってしまうので注意。

素性(初期職業)の中で一番扱いやすいのは剣を振り回す騎士で、剣は攻撃範囲がある程度広い上に振りも早く、片手で扱えるので盾も持てるし、頑丈な鎧も着れる。魔術師は上級者向けで、魔法のための能力を上げると大した武器も持てず装備も紙装甲だが瞬間最大火力は高い。このゲーム、自由度が高いのでお気に入りのスタイルで攻略していくことができる。斧や槍とかもあって好きな武器を愛用することができる。三浦建太郎「ベルセルク」の主人公が持っていたような馬鹿でかいグレートソードなんかもあり、一撃で雑魚敵を粉砕したりできるけれど、当然のことながら重くて振りが遅い。敵との相性もあるので複数の武器を持ち歩くとよい。

冒険の舞台はさらに貧民街や峠道、湿地帯や沼地、要塞や大教会、都市や地下墓地など様々。世界設定がよく分からないのだけど、倒さなければならない「薪の王」たちの色んな故郷が異空間的に吸い寄せられてぎゅっと詰まった感じらしい。最後のほうに行くにしたがって奇妙にねじ曲がった不可思議な建物の集まる空間が描かれており、この世界が終末を迎えている感じが強く迫ってくる。なんとも幻想的だった。

フィールドはそんなに広くなく、敵の配置や挙動も決まっているので、一度失敗しても次は対策することによりうまく進めることができるようになっていく。敵に囲まれないように一匹ずつ倒していくだとか、物陰から敵が現れるので対処するだとか、巨大な武器を持った敵はまず大振りさせてから叩くとか、一つ一つゲームのコツをつかんでいくことができるようになっている。一度うまくやれるようになるともう一度同じステージをやりたくもなる。

フィールドがどれも美しい。廃墟感に趣きがあり、古い樽とか机や椅子なんかは戦闘行動によって壊れて散らばる。たまに破片が空中に残ることがあるのはご愛敬として、とてもリアルでよく出来た空間だと思った。

自分はゲームを進めながらYouTubeでゲーム実況の録画を並行して見た。有名なゲーム実況者である加藤純一と「もこう」が新作発売前に36時間生放送で初見で攻略するという公式の企画があり、初めてプレイする自分と同じ視点でやるというのが良かった。このゲーム、世界観が怖いので一人でプレイすると寂しくなってくるのだけど(?)、ゲーム実況を見ることにより疑似的に一緒に遊んでいる気がしてくる。ただし先が分かると面白くないので、自分がある程度攻略し終わってからその部分の動画を見るようにした。自分が苦労したところでおんなじように苦労していたり、逆にあっさり逃げてスルーしていたり、自分が楽勝だったところで何度も死んでいたりと、色々あって面白かった。結局36時間ではクリアできず45時間ぐらい掛かっていた。

自分はじっくりプレイしたこともあって本編を70時間近く掛けてクリアした。レベルは確か90台半ばだったと思う。自分が買ったThe Fire Fades EditionにはDLC1とDLC2が含まれており、そちらも含めると90時間以上掛かった。クリアするとそのままのキャラと装備を引き継いで二周目のプレイをすることもできる。八周目までは敵が徐々に強くなっていくらしい。イベント関連は引き継がれない。

自分は攻略サイトを読んでいわゆる「粗製戦士」と呼ばれる一周目攻略に向いた育て方をした。このゲームの武器は筋力や技量を上げることにより攻撃力が上がっていくのが普通なのだけど、粗製という武器変質をすると武器を扱うのに最低必要な能力値さえあれば固定で攻撃力が一定程度高くなる。そうして筋力と技量を抑える代わりに生命力や持久力を上げることにより最大HPも上がり安定する。武器も扱いやすいロングソードなのでまさに初心者向けの育て方だった。

このゲームにはオンラインの要素もあって、協力プレイで他の人の攻略に太陽霊として参戦して一緒にボスを倒したり逆に協力してもらったり、逆に闇霊として侵入して襲い掛かったりできる。自分がこのゲームを遊び始めたときは運悪く脆弱性の問題によりサーバが稼働しておらず再開の目途も経っていなかったので遊ぶことができなかった。このオンラインでのプレイがあることにより、ゲームを何度も周回してキャラクターを育てたり、あるいは同じようなレベル帯でマッチングすることからキャラクターを最初から育てなおして自分好みのとがったキャラで参戦したりする楽しみがあるようだった。

そろそろ批評もすると、まず遊ぶ人を選ぶ。アクションRPGといえば任天堂「ゼルダの伝説」シリーズは比較的誰でも遊べるよううまく難易度が調整されているのに対して、このダークソウルシリーズはやはりちょっと難しすぎると思う。特に、一番簡単なエンディングまで到達した人は現時点で23.8%だった。あと二つ(正確には三つ)エンディングがあるので分散されているのだと思うけれど、それにしても少なすぎる。隠しボス(?)撃破が33.2%だった。どれかのエンディングまで行った人は多く見積もっても半分にも満たないと思う。

個人的にはローリングのチュートリアルをもっと分かりやすくしたほうがいいと思う。一応道中のメッセージを読むと操作方法が一つ一つ書かれているのだけど、ローリングの重要性が分からないので有用性がすぐには理解できないと思う。「ゼルダの伝説」だと重要な操作のたとえば「Z注目」のやり方とか丁寧に教えてくれた覚えがある。難しい分にはいいし制作者にもこだわりがあるらしいのだけど、不親切な難しさは理不尽だと思われる。

イベントキャラの見分けがつきにくい。火継ぎの祭祀場(街みたいなとこ)の中にいるキャラは分かりやすいのだけど、攻略中のフィールドの中にもまぎれているので気づかずに斬りかかってしまいそうになる。というか自分は「ヴィンハイムのオーベック」に斬りかかって(!)一度敵対してしまった。3回斬ると敵対するので2回まではいいんだけど、連撃するクセがついていたのでやってしまった。しょうがないのでいったん逃げてから「免罪」という手続きをして事なきを得たが、大量のソウル(経験値兼お金)を使ってしまった。

イベントの進め方を間違うとあっさり途中で終わったりイベントキャラが死んだり狂ったり(!)敵対したりする(間違えなくても展開上敵対することもある)。盗賊グレイラットを救出して仲良くすると色んなものを売ってくれるようになり、品ぞろえを増やすためにどこそこに忍び込んで仕入れに行ってやろうと言い出すのだけど、フラグを立てておかないと忍び込んだ先で遺灰として見つかる(!)。

なにしろ世界観が終末なので登場人物全員がなんらかの形で死へと向かっているのが物悲しい。一番陽気な「カタリナのジークバルト」ですら最後目的を果たすと死んでしまう。ちゃんと幸せな(?)結末を迎えるキャラもいるんだけど全員を助けようと思ったら滅入ってしまうだろう。そこがまたいいところなのでこういう物語が好きな人にはたまらないと思うけれど、ハッピーエンドじゃなきゃイヤだという人にはやりきれないだろう。

DLC1とDLC2のゲームバランスがいまいちだと思う。DLC1は最初不用意に進むと敵に囲まれてボコボコにされるし、ミルウッドの騎士という巨漢の敵が塔の細い足場を器用に上り下りしてデカい武器を振り回してくる。ボスも凶悪な強さだった(姿を消す攻撃には対策もあるのだけど気づけなかった)。DLC2は前半「天使」が全方位でレーザー(?)を撃ってくるので落ち着いて探索できないのにマップの構造が分かりづらいし、ボスが総じて固すぎる上に特にミディール(ドラゴン)が攻撃パターンの暗記を強いられる作業ゲーすぎてつまらなかった。YouTubeに上がっているとんべぇさんの動画がなかったら相当時間が掛かっていた、というか途中であきらめていたかも。

ストーリーが分かりづらい。「薪の王」ってなに?っていうかそもそも主人公が「不死人」で一体何をしたいの?みたいな。まあそういうフワッとしたいい雰囲気の世界観がウリなのだからこれでいいのだけど、いまいち感情が乗らない。

魔術師プレイは上級者向けだと聞いていたので最初は避けたのだけど、ちょっと試してみたら最初のボスをノーダメージでクリアできた。二回目だから慣れているというのもあるのだけど、遠くから魔法を撃っているだけで倒せたので楽勝だった。魔法は瞬間最大火力が高いのでボスには強いのだろう。逆に雑魚に囲まれると弱いんだろうと思った。また、魔法が効きにくい敵というのもいそうなのでそのときにどうするのかというのを考える必要がありそうだった。

Steamはプレイ2時間までなら返品できるので、まずはチュートリアルステージを遊んでみて楽しめそうならやってみるといいと思う。発売してから5年以上経っているせいか価格が安くなっているし、セール時ならさらに安くなるので、自分が楽しめるところまで楽しんでもいいと思う。イギリスのあるゲームレビューサイトはこのダークソウルシリーズ(正確には1作目だけど)をマリオやゼルダやテトリスやDoomなど差し置いて史上最高のゲームだと評したぐらいで、この3作目だけでも全世界で千二百万本以上売れている。なお実質的な次作(?)であるElden Ringはたった三週間でそれと同じだけ売り上げた。

コメントする 画像をアップする 戻る

Copyright © manuke.com 2002-2018 All rights reserved.