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お嬢様の僕 10巻まで

田口ホシノ (講談社 シリウスKC)

まあまあ(10点)
2022年7月21日
ひっちぃ

執事の父とメイドの母を持つ近衛養太郎は、両親の影響なのかやたら几帳面で世話好きな高校生に育った。そんな彼のもとに絵に描いたような世間知らずのお嬢様である西園寺翼が現れ、親のいいつけにより世話しなければならなくなる。その上さらに幼馴染のお嬢様である九条みのりまで押しかけてきて、奇妙な同居生活がはじまる。少年マンガ。

題の「僕」は「しもべ」と読む。主人公は自分のことを「俺」と言ってるので「僕(ぼく)」のほうとは掛かっていないと思うけど、弱い立場にある彼が気弱になって「僕」な気分であることも表しているのかもしれない。

基本的には長谷見沙貴・矢吹健太朗「To Loveる」のようなご都合主義的な少年エロマンガ(?)なのかもしれないけれど、女の子たちがまるで裸を見せるための人形であるかのように振舞うこれらの作品と違って、かなり強引ながらも西園寺翼に関しては「ものすごいお嬢様なので人に着替えさせてもらうことがごく自然だと思っている」という設定を丁寧に描いていって一応説得力ある形に(?)持って行っている。あとこいつショートヘアでボーイッシュなのに上品かつ女の子っぽくてかわいいのが最高だった。

西園寺翼が天然のお嬢様なのに対して、もう一人おしかけてくるのは養太郎の幼馴染ですごく高飛車な金髪のお嬢様の九条みのり。こいつには一応常識があってある程度自分で身の回りのことはできるのだけど、養太郎のことが好きなので西園寺翼に対抗して自分もなんでもやってもらおうとする。こいつにはしっかり恥じらいがあるので世話してもらってすごく恥ずかしそうにしているのがかわいい。

九条みのりにはおつきのメイドで一年先輩の杉野夏帆がついてくる。こいつは普段はポーカーフェイスで養太郎にあれやこれやを押しつけてはそれを後ろから見てニヤニヤするといういじわるキャラ。でも過度に養太郎をいじりすぎず、好きにすればいいという姿勢で一歩引いているのでそんなにいやらしさを感じない。こいつもなにげにかわいい。

こういう風にちゃんと自然に(?)キャラづけがなされているので、この手の作品によくあるような不自然にエロを見せるシチュエーションで覚めてしまうことがなく、登場人物が活き活きしているように思う。これなにげにすごいと思う。まあそもそも同世代の女の子たちと同居して世話をするという状況そのものが不自然だと言われればそのとおりなんだけど、結局のところ読者の好みなんだろうなあ。西園寺翼の寝相が悪くて服が勝手にはだけるなんてのもあるし。でも主人公がなにかと変態扱いされるいままでの作品と違ってちゃんと主人公には人権がある(!)。

基本的には二人のお嬢様とメイド一人でしばらく話が進むのだけど、そのあと養太郎の親戚で小学五年生の花村凛子が加わる。さすがに小5で同居はできないけれど、養太郎はこの子のことをまだ子供としか思っていないので普通にひざの上に乗せたりして二人のお嬢様はドギマギする。一方でこの子はこの子で子供扱いされるのはイヤで養太郎のことが好きなのでちゃんと女の子として扱ってもらいたい一方で、以前のようにかわいがってほしいと思っている。

さらに養太郎のクラスの委員長(?)である大瀬若葉まで加わってくる。こいつは養太郎と同じく世話好きなのだけど、なんでも自然に世話を焼く養太郎の姿勢にキュンときてひそかに想いを寄せていた。転校してきた二人のお嬢様と養太郎との距離感がおかしいことに気づき、ちょっとしたきっかけから家へ行くことになり、なぜかその後メイドの杉野夏帆に弟子入りする。

とまあそんなハーレムものになってしまうのだけど、女の子たちにはそれぞれの事情があり想いがあるので節操ない感じはあまりしない。

できすぎたハーレムものには食傷気味だけどしっかり肌色のあるちょっとHな少年マンガを読みたいという人にはハマると思うので読んでみてほしい。

[参考]
https://
pocket.shonenmagazine.com/
episode/
13932016480029241855

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