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  • ONE PIECE 1〜14巻

    尾田栄一郎

    傑作(30点)
    2002年5月21日
    ひっちぃ

    主人公の少年が海賊王を目指して、仲間を増やしつつ海や島や大陸を冒険する話。

    作者の尾田栄一郎は、もともとは「るろうに剣心」のアシスタントだったらしい。私は「るろうに剣心」を読んだことがないので、つながりを意識して読むことはできなかった。

    主人公のルフィーはどう考えてもドラゴンボールの主人公・悟空の系譜を引いている。大飯食らいで、何を考えているのか分からないところがあるけど、正義感がとても強い。ただ、違う点も多く、悟空が強さを追い求めるだとか強い敵と戦いたいという信念が強かったのに対して、ルフィーは仲間を大切にしようとする意識が第一にある。

    各登場人物はそれぞれ夢を持っていて、その点が強調されるのも面白い。主人公にただついていくのではなく、それぞれの目的があるので、仲間といってもかなり独立している。この独立性が非常に愉快で、これまでの冒険モノと比べて厚みのある物語となっている。また、仲間が加わるときに、必ず仲間のバックグラウンドが感動的な物語で語られるところがとてもいい。語り口に多少荒いところがあるのは目をつぶろう。

    序盤で唯一の紅一点ナミはまるでドラゴンボールのブルマである。隙あればドラゴンボールもとい宝を持ち逃げしようとする。しかし、ブルマが単なるお気楽な金持ちの子供だったのに対して、ルミの場合は暗い過去と独自の夢を持っている。

    「るろうに剣心」の影響か、最初の仲間は剣士ゾロである。日本刀を三本持って戦う。彼の服装が独特でかっこいい。ヒップホップに腹巻だ。このセンスは絶妙。ほかにも、ルミもサンジもウソップも、敵役やわき役までも、服装はとてもよく考えられている。

    日本刀を悪い人々から取り返すことを夢とする人間も出てきて、そこから名刀のランクや種類の設定が生まれ、物語が広がりを増していくところは最高である。

    絶賛尽くしだが、気になる点もある。

    まず、動きのある絵に違和感を感じることがある。特に主人公ルフィーは、体をゴムのように自由に伸び縮みさせることができるので、手や足を伸ばして常識では考えられない動きをする。それ以外の人物も、変わった体制で攻撃や防御をし、それをまた独特のアングルから描いている。私は慣れないせいか、じっと見てもどういう絵なのかよく分からないことがたびたびあった。

    それと、ジャンプ系の作品ゆえか、戦闘がやたらと長い。ジョジョの奇妙な冒険や、HUNTER×HUNTER と比べると、どうしても戦闘が単純になりがちなので、もっとあっさり終わらせるか、それとも工夫して見せるかする必要があるのではないか。

    一度主人公たちに倒された敵役を大切にするところとか、読者との対話のコーナーとか、昔の海賊の設定を説明するところとか、細かいところで心憎い部分があって、とても好感が持てる。この物語の世界は非常に魅力的で、この世界でこんな仲間と冒険が出来たらいいなという魅力にあふれる(現実逃避的で後ろ向きだが)。

    コメント

    ダラダラ ひっちぃ
    これを書いている現在で44巻まで出ており、ようやくアニエス・ロビー編が終わった。バロック・ワークス編以上にダラダラした展開に、何度も本を読む手を置いた。無理やり船の感動話に持っていくところ、ウソップとの決別の結末がぼかされたこと。
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