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    Klei Entertainment

    傑作(30点)
    2025年8月10日
    ひっちぃ

    謎の惑星の地中深くにテレポートさせられた「複製人間」3人を導いて自活させるのが目的のいわゆるコロニーシムと呼ばれるゲーム。

    前にSatisfactoryという工場シムのゲームをプレイしたときに、攻略動画を参考にさせてもらっていた「だてんちゆあ」(ゆあちゃんねる / Yua Channel)という人のプロフィールを見てみたところ、好きなゲームとしてこのゲームが一番に挙げられていた。Steamで確認したら「圧倒的に高評価」となっていたのでセールまで待って買ってプレイしてみた。とてもおもしろかった。

    【Oxygen Not Included】初心者でも出来るコロニー運営!【ゆっくり実況】 - YouTube
    https://www.youtube.com/
    playlist?list=PLCu3aJfqYoLzEy2rn
    iU4BGbQKmvEo6d4b


    RimWorldなどこの手の作品によくある空から見下ろしたような視点ではなくて、見た目はTerrariaのように横から断面にしたかのような2D画面になっている。ゲーム開始時は地中に埋まった空洞から始まるので、ちょうどアリの巣を横から見ているような感覚に近い。

    とりあえず最低限必要な水と酸素と食べ物はあるのだけど、いつまでもつか分からないので上下左右に掘り進んでいく必要がある。じゃあ具体的にどうするのかというと、プレイヤーは「複製人間」を直接操作できないので、たとえば地面を選択して掘削の指示を出すとそのうち誰かがやってくれる。

    「そのうち誰かが」というのは適当に選ばれる。指示は一度に多く出せるので、どの指示を誰がやるのかは内部で優先度をもとに計算された上で行われていく。「複製人間」たちにはそれぞれスキルや能力値があるので得手不得手がある。このあたりはコロニーシムと呼ばれているゲームの全般的な特徴となっている。

    なぜ「複製人間」なのかというと、3サイクル(1サイクルは実質1日)に一度、新たに生成できるからだと思う。ちなみにこのゲームには正式な日本語版がなくて、翻訳はWorkshopと呼ばれるマーケットみたいなものの中にある日本語化Modにより実現している。「複製人間」というのはduplicantの訳語らしい。SF作品「ブレードランナー」に出てくるレプリカント(人造人間)みたいなものか。

    簡単なチュートリアルが用意されていて、まずはトイレを作れと言われる。建築メニューから汲み取り式トイレを選び、設置したい場所をクリックすると半透明な絵が置かれる。これを「そのうち誰かが」作ってくれる。

    一日の労働時間が終わると複製人間たちが一斉にトイレへ向かっていく。一斉に。トイレは一個しか建てていなかった。トイレに行けなかった複製人間はそのまま失禁するw

    トイレは人数分建てておく必要がある。わけがわからなかった。ちょっとずつズラせばいいのに。そもそもなぜ一日に一回なのか。まあそういうゲームだと思うしかない。

    ほかにも解決方法はあって、個別にスケジュールを割り当てることによってズラすことができる。スケジュールは一時間ごとにしか決められないので、一時間ずつズラしたスケジュールを三つ作ってそれぞれの複製人間に割り当てればいい。まあトイレは複数作っておいたほうがいい。どうせそのうち人が増えるし、すぐ建てられる。同様にベッドも人数分必要で、こっちはスケジュールでズラせないので必ず人数分必要となる。

    食べ物はたぶん芋みたいなものがそのへんに埋まっているほか、野生の植物を採取したり、プランターなどで育てたりできる。また、動物が数種類いるのでそいつらを狩ったり育てたりしてもいい。

    飲み物は水が溜まっている場所がところどころにあるのでポンプを作ればくみ上げられるようになる。ただし、濡れている場所を歩くと健康を害するし、作った施設が水没すると使えなくなったりする。地中を掘っていくとよく水場にあたるので、なにも考えずに掘っていくと生活空間が水浸しになる。

    ゲームのタイトルにもなっている酸素(Oxygen)についてはそこまで気にする必要はない。生活の場に酸素が少なくなってきてもすぐに死んだりはしない。息を止めて普通に作業を続ける。結構長い時間我慢できる。呼吸が続かなくなると酸素を求めて勝手に移動する。注意しないといけないのは、大怪我をしてしまうと移動速度が極端に遅くなるので、酸欠と併発すると死ぬことがある。

    酸素は藻から作る装置があったり水を電気分解したりして作ることができる。電気分解すると水素も発生してしまうので、充満すると呼吸ができないし目にも刺激があって労働効率が落ちる。

    地中には様々な資源が埋まっているので、それらを掘り出して利用していく。研究ツリーがあって進めていくといろいろな設備を建てることができるようになっていく。

    最終的にゲームクリアと呼べる目標には大きく二つあって、一つは複製人間が12人以上、一定以上の士気を保ちつつ長期間暮らし続け、最終的にモニュメントと呼ばれる大きな像を建造することで達成される。もう一つは地表に出てロケットを作ってこの星系から脱出することで、実質的にこれが最終目標となる。

    自分が最初にプレイしたときは、だんだん生活空間が温暖化していって30度を超えてしまい、食用植物が育たなくなって崩壊した。30度を超えたぐらいで植物が育たなくなるってどういうことなんだ。ちなみに植物によって適切な気温が決まっていて、キノコだったら35度まで大丈夫だし、逆に胡椒なんかは気温が低すぎると育たなくなる。気温以外にも必要な肥料や水や大気の種類なんかがそれぞれ違うので、ちゃんと環境を整えていく必要がある。

    二回目のプレイで最終目標まで達成できたのだけど、それまでに何度もいろんなことでつまづいた。特に電力には苦労した。発電するための資源が枯渇しそうになったり、電力網が焼き切れたり、副産物として発生した大量の二酸化炭素の処理に困ったりした。

    大抵の問題はなんとかなるのだけど、士気の問題だけは対処が難しかった。というのも、複製人間たちはスキルを覚えさせるたびに必要な士気がどんどん増えていく。これが満たされないと徐々にストレスがたまっていき、100%になると破壊衝動により周りのものを壊して回ったりと迷惑行為をするようになる。

    環境を整えてやれば士気が上がるのだけど、たとえばガスレンジで作ったおいしい料理によって保たれていた士気が、天然ガス不足によりなくなってしまうと一気に下がってしまう。まあそうなってもスキル洗浄機というスキルを忘れさせることができる設備を使えばよくて、そうするとスキルを獲得するのに使ったポイントももとに戻るのだけど、最初から覚えていたスキルには適用されないらしいので少し弱くなってしまう。

    中盤で停滞したこともあった。設備が増えすぎるとメンテナンスのために掛かる人手が増えていくので、何か作業を指示してもなかなか着手してくれなくなってしまった。これを解決するためには自動化を進めていく必要がある。

    自動化にはいろいろな方法があって、各種センサーや論理回路を使って施設を制御したりできるほか、コンベアーを使って物資の輸送までできる。特に「自動掃除機」はかなり万能で、範囲内の物質を自動的に収納・配達できるので、肥料や燃料を自動的にやったりコンベヤーにモノを乗せたり取り出したりできる。

    いろいろ自動化できることから工場シムっぽい側面もあるのがこのゲームなのだけど、コロニーシムなので複雑な設備をいちいち複製人間に作ってもらうのに時間が掛かってイライラした。せっかく作った施設がうまく動かなくて一部作り直そうとしても、そのたびにいちいち複製人間の作業を待たないとならない。最後ロケットを飛ばすための液体水素作りの設備を作るのに十日以上掛かった。

    まあそれも自分が悪くて、施設を作るための材料がいろんな場所に散らばっていて整理されていないからってのも大きいんだと思う。現在利用可能な各種資源の量を表示させることができるのだけど、あくまで複製人間の誰かが到達できる範囲内にあるものだけが集計されているので、他に優先されるべき作業に忙殺されていて一向に資源を取りに行かなかったり、地中奥深くに放置されていて取りに行くのに時間が掛かったりしていることがある。

    地表に出て宇宙開発するあたりからちょっと不親切なので攻略サイトや動画の世話になった。特にロケットの作り方や、時々発生する流星群による隕石の落下から施設を守るための方法なんて、もっと説明があったほうがいいと思う。

    最後ロケットで大脱出したとき、Steamのトロフィーの達成率がプレイヤー全体でわずか1.5%だったので笑った。クリアまでの総プレイ時間は220時間ちょっとだった。

    このゲームで一番難しいのは、何かを作るとその副産物の処理まで考えないといけないことだと思う。たとえば酸素が欲しいときに電気分解をすると、酸素のほかに水素まで出てしまうので、それをどう処理または利用するか考えなければならない。

    また、液体から気体を作ると気圧が上がってしまい、複製人間たちの鼓膜が破裂してストレス値が上がる。仕方ないので自分はボンベ充填所を作って気体を入れていったけど、これは自動化が難しいので定期的に手で操作してボトル詰めする必要があって面倒だった。あとで気づいたのだけど炭素スキマーという装置を使えば二酸化炭素を処理できる一方で、こいつは水を消費して汚染水を出してしまうのでそれの処理を考えなければならない。

    二酸化炭素などの有毒ガスは宇宙に捨てるのが簡単なんだけど、地表に出るまでには割と時間が掛かる。ちなみに二酸化炭素はソーダファウンテンという娯楽設備でも消費でき、士気を上げることができる。

    さらに言うと、電気分解によって作られた酸素は熱を帯びているため温暖化も進んでしまう。熱問題は最後まで大変だった。対処するためのカギは液体冷却器なのだけど、こいつは熱を移しているだけなので何も考えずに設置するとすぐに過熱によるオーバーヒートで壊れてしまう。それを避けるには鋼鉄などの耐熱素材を使って作った上で、移した熱を利用するための蒸気タービンと併用するのがセオリーになっている。それがこのゲームの醍醐味にもなっているのだけど、これを試行錯誤により独力で行うのはかなり難しいと思う。自分は攻略サイトを見ながら仕組みを理解して取り入れたけど、丸パクリすると作業感しかないし、試行錯誤するには複製人間に建てては壊してを繰り返してもらうので時間が掛かりストレスを感じた。いったん建て直すために壊したら内部から蒸気があふれ出てそこらじゅうしばらく危険地帯になり、実際複製人間が大やけどした上で酸欠になって何人も死んだりした。

    一方でそんなに難しくないものも多くて、たとえばハッチという動物は鉱物を食べて石炭を排出してくれるので、地面を掘って余りまくっている鉱石を食べさせるだけで一定量の石炭が定期的に作られるようになる。ただまあそのあたりにパラパラと排出されるので、そのままだといちいち複製人間に拾ってもらって石炭発電機などに配達してもらう必要がある。

    絵がかわいい。複製人間たちがアニメっぽい絵で描かれ、作業ごとに細かくアクションする。大きな食べ物を食べるときは大きな口に入れて咀嚼し飲み込むまで描かれる。分子合成機で作業するときなんか無意味にムーンウォークしててウケた。

    死んだ複製人間は自然保護区に墓を作って埋葬したのだけど、仲間の複製人間が墓を訪れて大粒の涙を流して泣いていたのを見たときにはなんともいえない気持ちになった。

    そんなわけでとても難しいゲームではあるのだけど、複製人間たちがちょこちょこと動き回って作業にいそしんだり生活したりしているのを見ているのは楽しいし、資源のやりくりをするために頭を使うのも楽しかった。

    言い忘れていたけれど自分はセールのときに744円で買った。普段のときも2,480円なので安いと思う。

    ただし、日本語化するためにひと手間掛かるのと、比較的マイナーなゲームなので他のゲームと比べると情報が出てきにくかったりマニアックなものが多かったりした。コロニーシムをやるのが初めてだったらRimWorldあたりから手を出してみたほうがいいかもしれない。

    いくつか拡張パックがDLCで出ていて、特に第一弾のSpaced Out!は実質Oxygen Not Included 2と呼べるほど大きくパワーアップするため、自分はまだ手を出していないけど最初はなにも入れていないバニラ状態でプレイしたほうがいいと思う。ゲームを快適にするModがたくさんあるらしいので、手間が惜しくない人は漁ってみるといいと思う。

    [参考]
    https://store.steampowered.com/
    app/457140/Oxygen_Not_Included/

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